修理修理
時計を買うときは必ず「修理代」を確認してください
先日お預かりしたIWCポルトギーゼラトラパンテのオーバーホール。
今回はリューズに巻き芯が折れ込んでおり、
リューズと巻き芯の交換が必要でしたが…
結論、
「修理不可」です。
特殊構造のオーバーホールもモノによって受け付けができませんが、
外装パーツや特殊な純正パーツは手配できません。
当たり前です。
「自社開発」系の時計はパーツを外部に流出させないことも目的としているのですから。
聴こえは良いですよね。
「自社開発」「ブランド独自」「一流の〇〇」などなど、
色々な制限を設けることでブランドの価値?を高めているわけで、
そういうところに心惹かれる方も多いことでしょう。
しかし何度も言い、そして書きますが、
「時計は絶対にメンテナンスが必要」
この十数年、高級時計ブームのようなものがあり、
一般の方でもパテックフィリップを買う時代。
自分の感覚では50万円を超える時計を買える方は相応の収入がある方か時計が好きな方。
前者は以前にも増してそう仰る方が増えましたが、
後者に言えることは時計が本当に好きなら現行品は絶対に買いません。
つまり超高級時計が誰でも買える時代になったとも言えます。
先に書いた通り時計は絶対にメンテナンスが必要。
しかし昔のブログにも書きかましたが自社開発モノはパーツが手配できない。
メーカーでしか修理ができないということになりますが、
超高級時計のオーバーホールは3針で大体5万円から。
大半はオーバーホールではなく「機械入れ替え」。
物によっては10万円を超えることもザラです。
それが複雑機構のクロノグラフなどになれば少なくとも7万円くらいから。
しかも構造が複雑だとオーバーホールのスパンも早くなる。
一昔前はウチのような時計屋さんでも機械の修理は大体のものができました。
なぜなら汎用ムーヴメントを使用していることが多い。
だから気軽に直せたしメーカー修理よりも安くできていました。
そう、その「気軽さ」が本当に良かったんです。
今は「ステータス」だの「ラグジュアリー」だの、
目に見えない付加価値を全面に押し出しているブランドの広告が多い。
正直なところ時計なんてお金があれば誰でも買えるもの。
それがローンなのか借金なのか、
はたまたヘソクリなのかは知りません。
収入や職業などに関わらずお金があれば誰でも買えるんです。
重要なのは買った「後」。
せっかく何十万円、何百万円もする高級品を買うのに、
メンテナンスなどの維持ができないのは本当に時計がもったいない。
本来はそういった高級品も大切に使うことですが、
修理代に10数万円なんて自分も含め庶民にとって気軽ではありません。
時計の本来の在り方は「気軽」であることも大事な要素。
修理をしたいと思ったときに込み入った修理でなければどこでも直せる、
それくらい気軽であるべきだったのではと思います。
時計を買う前に今一度、
今後の事も思い描きながら購入されてみてはいかがでしょうか?