修理修理
1930年代の時計でチャレンジ
先日入手した1930年代のオメガの時計。
この年代らしいボーイズサイズくらいの小振りなケースに、
文字盤は陶器で造られ針は青焼きのスチール針。
まさにザ・アンティーク時計といった雰囲気です。
言わずもがなムーヴメントはなかなか雰囲気出てますが…
天芯折れ、ゼンマイが合わせで動力強すぎ、とりあえず精度出ない…
そんなことくらい慣れているので驚くことではありません。
だって1930年代ですよ~?
おじいちゃんやおばあちゃんが生まれる前に製造された時計で、
今のような高精度ではないのでこんなことは当たり前の話です。
製造から90年近く経過しているものなので当然新品の純正パーツなんてありません。
過去のユーザーや修理職人がどのような使い方や修理をしたかは現状で判断するしかないのですが、
適合しそうなパーツを取り付けて直すしかないのです。
しかしカンタンに適合パーツと言っても、
歯車やネジのサイズ、受け石の形、ゼンマイのサイズや形などなど、
探すのも思っている以上に大変な作業。
よく世間で言われる「内部の一部に社外のパーツが付けられたらウンタラカンタラ…」
は妄想の範囲でしかない無責任なもの。
逆に言えば同じ素材、同じ形状のパーツが純正かどうかの判断を誰ができるのかという話。
ですがイチイチそこまでの手間を考えるのなら、
中古の純正パーツなどを探した方がコストが掛からない。
修理って思われている以上に色々考える大変なことなのです。
こちらの時計はこれから修理をしますが、
正直なところ実費分で買ってくださる方がいるのならそのままの金額で譲ります。
修理代は通常よりもめちゃくちゃ掛かるでしょうが、
この手の時計はウチでは基本的に販売しません。
よく言われる「旧い時計はパーツが手配できなかったり、直せないんじゃないか?」
それは正直なところ30点くらいの回答。
正確には「年代によって」という所が大半を占めます。
今回のオメガのように「旧すぎる」とパーツが手配できなかったり直せないことはあります。
なぜなら1930年代の時代背景を考えてみてください。
腕時計そのものが普及し始めた頃で、
腕時計を庶民が買えたのかと言うと買えませんね。
高級品はあくまで上流階級のものなので、
そもそも流通量なんて今の半分以下。
ではウチで扱う時計はというと、
1960年代~1990年代のものがほとんど。
この年代は腕時計が広く一般的に普及しており、
ブランドによって共通パーツも多く今でも修理してくれるものもあります、
全て「直せる」ことを前提に商品をセレクトしているのでよほどのことが無い限り直せます。
もちろんデザインだけで言えば1940年代以前のものは本当に可愛い。
個人的にも大好きですが実用性を考えると維持が難しい。
そうなんです、バ〇そうに見えて意外と考えているんですよ~(笑)
時計は実用性を考えなければ本当に幅広く楽しめるのですが、
実際に使うことも前提に加えると大変な部分もあります。
だからこそどんなお店も売ったものに対しての責任を持って販売しているのだと思います。
お店によって扱う商品が違えば得意不得意というのも存在します。
でもその違いがあるからこそ商品だけでなくお店というのは面白いんじゃないかなと。
人と一緒でそれぞれの個性があるから楽しいんです‼
時計を選ぶことはもちろん、
どこで、どのようなタイミングで時計を手に入れるのか?
そういったことも考えながら時計を探すのも本当に楽しい。
多くの人にとって自分に見合った時計が見つかればいいですね!
Rihanna - We Found Love ft. Calvin Harris