REGALO vintage watch

contact
MENU

修理修理

「サビ」はトモダチ(笑)

先日インスタグラムにアップした入荷時のサントスの様子。






初期型のサントスガルベやサントスオクタゴンはベゼルとケースを両ネジで留めた少し特殊な構造。
長年の汚れや垢が溜まりやすくネジがサビる原因の一つ。
そしてブレスレットはピンとパイプで留めるタイプ。
これも汚れなどが溜まるとサビて最悪の場合はピンが抜けません。




さらに初期型のブレスレットのコマはスプリング留め。
これはサントスくらいしか採用されていない構造。
これも汚れなどが溜まるとバネごとサビてしまいます。

サントスは製造から長いもので40年近く経過しているので、
多くの場合は汚れを放置されサビが強いことが多い。
そうなると各パーツを外すことができないので、
当然のことながらオーバーホールはできません。

ちなみにカルティエでサビサビになったステンレスモデルのサントスを持ち込むと、
ネジが外せなければケース交換、
さらにブレスレットが外せなければブレスレット交換も追加され、
コンプリートサービス、各種パーツ交換を含むとケース交換だけの場合は約30万円、
ブレスレットを含むと約55万円、
コンビモデルになると恐らく70万円くらいはすると思われます。

ウチのお店ではネジ抜き、ピン抜きをやってくれる職人さんがいますが、
これも状況次第でできる場合とそうでない場合もあり、
サビたパーツを外す場合は基本的に破壊して外します。
そして工賃も決して安くありません。
そうでもしないと外せないのが「サビ」が原因となる修理。

定期的なメンテナンスを勧める理由として中の機械はもちろん、
外装のネジなども汚れが溜まって外せなくなることがあるので、
オーバーホールの時にバラせるところまでバラバラにします。
そうすれば汚れなども落とせるので、
やはり3年~5年に一度はオーバーホールをした方が良いですね!

今回サントスが何本か入荷し、
オーバーホール前に外装のチェックをしていました。
案の定、所々サビが酷かったのでヤスリを掛けたりしていましたが、
ベゼルのネジが1か所だけどうやっても外せない。
やっとの思いで外せたのがコチラ。



裏側のパイプにびっしり汚れとサビがくっついていました。

今回は裏側から攻めてみましたがネジ山が曲がり舐めるばかり。
何度もドライバーを研いで表側を抑えて裏ネジにチャレンジしたもののダメ。
ターボライターで炙ってみたけどなかなか外れない。
そこで裏側のネジを固定して表からやってみると抜けました‼
でもドライバーの刃先がボロボロ。
達成感はあるものの、
何より大事なのは機械のオーバーホールとなるので、
後は職人さんにお願いをします。

サントスに限らず古い時計は多くのリスクを孕んでいます。
今回のような外装のサビ、
内部も金属疲労などもありオーバーホールで直らないこともしばしば。
そんな時のための専門の職人さんやパーツのストックなどの存在が欠かせません。

店頭で商品を買うときは確かに値段はそれなりにします。
個人売で買うよりも値段はずっと高い。
でもなぜ「その値段なのか」を考えれば、
実はお店で買うことが一番安く何よりも安心して買うことができます。

時計の小さなネジ一つの「サビ」ですら侮れない存在。
目に見えるかどうかくらいのサビたネジ一つを抜くのにも、
そこそこ高級なTシャツ1枚買うのと同じ値段はします。
ほぼ毎日と言えるほどサビたネジを抜いているとわかりますが、
本当に大変な作業なんです。

時計一つ買うのも決して楽ではありませんが、
どんな時計にも必要な「メンテナンス」はもっと大変。
細かいことかもしれませんが、
時計と付き合うことはそういうことも考えながら選ぶということ。
でもそれらを乗り越えたときに時計の本当の面白さに気付けると思いますので、
ご購入の際はぜひぜひ納得の行くまでご相談を!

前へ 一覧ページに戻る 次へ
pagetop
CONTACT MAIL ORDER GLOBAL SHIPPING