修理修理
機械式の時計はこんな感じです!
こちらは自動巻きの時計。
所謂「機械式」と呼ばれる時計の一種で、
小さなネジや歯車が機械板と重なってゼンマイで動いています。
こういった金属パーツだけで時間を正確に刻むという部分に、
多くの方々が惹かれていると思いますが、
金属で構成されているということは、
「機械油」が切っても切り離せない存在なのは言うまでもありません。
そのため定期的なオーバーホールが絶対に欠かせません。
過去に何度もメンテナンスの重要性については書いておりますが、
時計の修理は目に見える変化がそこまで無いので、
そこそこの金額を払うのはちょっと…
そんな気持ちもわからなくはないのですが、
油が乾いた状態の金属の摩耗は、
ユーザーが思う以上に時計へのダメージが大きいもの。
車で言えばガソリンを入れたら再び走りますが、
これは時計で言うとゼンマイを巻く行為や電池交換に近い感覚。
もしメンテナンスを一切しない車を走らせると、
白煙が出たり出火などの原因にもなります。
それはオイル交換や他のメンテナンスを行っていない証拠でもあります。
とは言え今の国産車は少々メンテナンスをしていなくても大丈夫なので、
そういった不具合に遭遇された方は少ないと思います。
それだけ国産車は優秀と言えばそうですが、
車を維持する上でメンテンナンスが欠かせないのは何となく理解できるはず。
時計も一緒ですが、
車と違いメンテナンスをしなくても生死には関わりません。
ただ油が無い状態の時計は常に悲鳴を上げている状態と言えます。
そのため3年~5年に一度は機械をリフレッシュさせてあげる、
そうすることで時計というアイテムは末永く使えます。
ただ勘違いしないで欲しいのは、
「3年~5年に一度で良いのであれば5年に1回修理すればいい」
というわけではありません。
これはあくまでも「目安」の話で、
時計の構造や機械によってスパンは変わります。
また使用状況に寄る部分も大きいので、
一概に5年に1回と思い込むと後に大きな修理になる場合もあります。
また時計のオーバーホールは「新品の状態」に戻すことではなく、
「機械を最低限維持する」ことに重点を置いています。
ただそういった意識はユーザーが持っていないためか、
今のメーカー修理は大半が「機械入れ替え」。
これが良い悪いではなく、
ユーザーが正しい知識を持って使わなかった結果だと思います。
それは修理だけでなく製品にも表れていることは言うまでもありません。
「壊れないように」「経年しないように」したものが今の製品。
その代わりに「値段」が高くなったのは、
ユーザーの声を反映したが故とも言えます。
自分たちが扱う「ヴィンテージウォッチ」を現行品と比較することは良いのですが、
同じものとして扱うのには無理があります。
例えば生産初期のトヨタ・クラウンと現行車が違うように、
時計もそれぞれの年代によって構造も中身も全く違うもの。
ただちょっとした理解をして頂くだけなのです。
ヴィンテージウォッチが持つ雰囲気は到底現行品では表現できないもの。
年数を重ねたからこそ醸し出されるものなので、
安易な復刻程度では到底敵わないものだと思っています。
それだけヴィンテージウォッチは素晴らしいものではありますが、
同時にメンテンナンスの重要性も視野に入れて欲しい。
言い換えればちゃんとメンテナンスをするだけで一生使える。
そう思えば意外と悪いものではないはず。
ちなみに今回の修理代は
オーバーホール¥25,000
新品仕上げ¥10,000
ゼンマイ交換¥5,000
各種消費税
合計¥44,000
これが高いか安いかの値段の話ではなく、
時計を維持する上で購入金額に関わらず修理は必要ということ。
時計に対する考え方は人それぞれですが、
自分が思うことは、
「メンテナンスをされない時計ほど可哀そうなものはない」
今一度、時計というものの「在り方」について考えてみるのも良いかもしれません。
時間を正確に教えてくれて、
装いに華を持たせてくれて、
メンテナンスをすれば末代でも使える。
こんなに素晴らしいアイテムは他にはないと自信を持っております。