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90年代は「ビーチサイドウォッチ」

僕が時計屋で勤め始めた2000年過ぎ頃に流行った「ビーチサイドウォッチ」。
今では死語とも言えるこのワード。
意味が分かりますか?
分かる人は間違いなくアラファー以上ですね(笑)
今回はこのビーチサイドウォッチについて。

当時はスポーツモデル全盛の時代。
スポーツモデルと言うからてっきり「スポーツをするときに使う時計」と思っていたので、
Gショックのような時計のことかと思っていましたが、
「スポーティなデザインのアナログ時計」の方が正確ですね。

代表的なものはダイバーズウォッチやクロノグラフ。
でも普通に考えればダイビングの時にダイバーズウォッチって使いにくいし(実はダイビングのライセンスあります)、
クロノグラフは2段階ものは針飛びするので正確さに欠けるし、
デジタルの方(やっぱGショック)が良いじゃん!となるわけですが、
実際にダイバーズウォッチをダイビングで使っている人は一人しか会った事がないし、
クロノグラフを普段から使っている人は…会った事がない。

とは言え流行もあって当時は猫も杓子もスポーツモデル。
自分も若かったからロレックス・エクスプローラ1(キムタクではなく大好きなバンドの人が身に着けていた)に憧れていたし、
時計のブランドも今みたいに多くないし、
時計のデザインも今よりもずっと良かったし…(笑)
でもお金なんてあるわけないからヴィンテージロレックスは買えるわけがなく、
給料を一生懸命貯金して現行中古を買うしかなかったんです。
当時はバイトでも頑張れば中古のロレックスは買える時代。
そんな時に突如現れたジャンルが「ビーチサイドウォッチ」。

最初聞いたときに「なんじゃそりゃ??」ですよ。
だってビーチサイドはまだしも「ウォッチ」って必要なん?
ようは海辺やプールなどで身に着ける時計って…必要??
そんなもんは海パン一丁で十分‼
なんていうのは小僧の戯言。
オトナはビーチサイドでも高級腕時計をするんだぜ!ってこと(合ってる?)。

その代表格が



ロレックス・ヨットマスターロレジウム。
1992年に金無垢モデル、コンビモデルが発表され、
1999年にプラチナとステンレスを組み合わせたこちらのモデルが登場。
この頃からロレックスの高級化は進み今に至るわけですが、
長期的経営戦略という意味でロレックスは大成功。
今では人気モデルは簡単に買えない、購入時に個人情報登録必須、転売禁止などなど、
様々なルールが設けられたわけで、
この当時にそうなるなんて誰も予想できなかったことでしょう。

と話が逸れましたが、
これが最初の頃は見事に大コケ。
そりゃ金無垢、コンビが人気無いんだから。
そんなの身に着けているのはスポーツ選手か〇〇〇くらい。
コンビでたしか当時60万円前後だった気がしますが、
電車通勤の一般人がそんなもの身に着けていたら…「?」な顔されますね。
それもあってなのか、
もっと使いやすいステンレスモデルが発表されるものの、
文字盤とベゼルにプラチナを使うという斬新なアイデアでロレジウムが登場。
それでも十分ハデハデだったので強面の人くらいしか持てない。
でも一定数の人気はありましたね。

さらにスポーツモデルでは初となる3サイズ展開。
メンズ、ボーイズ、レディースがあり、
親子で持てる~なんてのも一つの売りでしたが、
こんな時計を子供に身に着けさせる親の顔が見てみたい(笑)
と言いつつ実際にはメンズとレディースしか売れませんでした。

で、この時計の面白いところがこの見た目で「100m防水」。
何となくダイバーズウォッチのような雰囲気があるけど、
これこそが「ビーチサイドウォッチ」。
つまりダイバーズだと思って使った人からのクレームがバンバンよ。
そもそも300m防水も間違った使い方をすれば簡単に水が入るのに、
100m防水なんてホント大した事がないんだから。

それこそ日本に住んでいてこの時計を使うシチュエーションって、
当時はほとんど無かったんです。
今はホテルのプールなども開放してくれたり施設も増えたので、
こういう時計の出番も増えましたが、
ある意味この時計をデザインした人は「天才」なのかもしれません。
時代を先取る感性を持ちつつ早いタイミングで世に放つ。
でもちょっと早すぎたよね(笑)
とは言え今ではロレックスの代表作の一つ。
個人的にはプラチナとステンレスの組み合わせは斬新で好きだったな~。

あ、今日は長いですよ暇なので(笑)




続いては皆さま大好き?パテックフィリップのノーチラス。
この時計は僕が人生で一番高い時計を購入したモデルなので少し思い入れがあります。

今で言うボーイズサイズに当たるRef.3800/1Aは1981年発表。
自分と同い年(買ったものは違うかもしれませんが)に販売され、
人生で最後の腕時計と決めて当時80万円くらいで買いましたが…
自分のライフスタイルに全く合わないので1週間で売却。
運良く買った値段より少し安い値段で売れましたが、
今ではこの時計も200万円オーバーの店頭売価。
「持っておいて高く売れば」なんて野暮なことは言いません。
そんなものは誰にも予想ができないし、
高く売るために時計を買うのなら最初から買わなければいい。
そんな「ケチ」な考えを持つとケチ臭いオッサンになるので、
「買いたいときに買う、売りたいときに売る」
それで良いんです。

と、また話が逸れましたが、
元祖ラグジュアリースポーツなんて言われますが、
「ラグジュアリー」と「スポーツ」の組み合わせとか最早よくわかりません(笑)
音楽で言う「ミクスチャー」ですかね?
これは防水性能が確か120m…ハンパやな~(笑)
要はダイバーズまではいかないけど防水が付いているってとこですね。
個人的にはデザインや文字盤の色など刺さるものはありましたが、
自分のような庶民(しかも当時20代半ば)が高級品を持つのはおこがましい、
というより全然似合っていない。
身の程を知らずに調子に乗っているクソガキ感が半端じゃなかったので、
それ以来、身の丈に合わない高級品を買うことをやめました。
この時くらいに「物の価値は値段じゃない」と思え始めました。
そういう意味では買って良かったのかもしれません。

で当時は受け入れられなかったのが




ノーチラスを買うときに勧められたのがアクアノート。
パテックフィリップのスポーツモデルの2台巨頭ですね。
文字盤はアラビア数字で当時見たのが初期型のトロピカルダイヤル。
ただ好きになれなかったのが「高級時計×ラバーストラップ」の組み合わせ。
ラバーストラップ=Gショックみたいなイメージがあり凄く安っぽく感じたんです。
ブレスレットモデルは店頭に無かったので見比べられませんでしたが、
若造にありがちな「時計はステンレスブレスでしょ!」という、
見識の狭さからノーチラスにしたような。
今ならどちらを選んでもブレスレットモデルを最初に買い、
後に革ベルトをオーダーすると思いますが、
もしも話は不毛なのでこの辺にしておきます。

この辺が出てきたら必須項目?なのが




オーデマ・ピゲのロイヤルオーク。
これはこれで魅力的な時計ですが、
ノーチラスに比べ角ばっているのでエッジが痛い(笑)
防水もノーチラスと同じくらいだったけな?
ただこれはパッキンが弱く切れやすいので、
維持していく上でパテックも含め基本メーカー修理。
ちなみに修理代金に大幅な変更がなければオーバーホール基本料金¥100,000。
たしかノーチラスは¥70,000くらいだったかな?

そう時計はメンテナンスと切っても切れない縁なのは過去のブログでも散々書きましたが、
時計を買うことはお金があれば誰でもできる。
でも維持をするのはお金はもちろん、
それ以上の「愛情」がないとなかなかできません。
逆にこういう世界のトップブランドの時計を持つ=修理代も余裕で払える人が持つべきもの。
だって可哀そうでしょ?
修理をされずに使い続けられ見放される時計って。

長々と書いてきて結局どの「ビーチサイドウォッチ」が良いのか?
それはウチのお店引いては僕を知っている人はご存知なはず。




カルティエのパシャC。
やっぱコレ以外ビーチサイドウォッチの選択肢として有り得ません。
間違いがなければカルティエの初となる100m防水時計。
まぁその程度の防水性能に過度な期待はできませんが、
そのくらいの防水性能があれば普段の生活は安心できます。
そして構造上リューズガードはネジ込み式、
裏蓋はネジ止めでパッキンは通常のOリング。
なのでロイヤルオークのような特殊パッキンでないので代用ができる。
機械もめちゃくちゃ優れているとは言いませんが、
ETA社の機械を使用しリューズ、巻き芯ともに特に複雑ではありません。
もちろんメンテナンスに関してはウチの職人さんであれば何とでもしてくれます。

さらにこの特徴的なリューズガード。
分かりやすく言うとカバー(フタ)にチェーンを溶接で付けているのですが、
これは引っ掛けると切れてしまいます。
メーカーではリューズガード交換で¥25,000くらいだったと思います。
一般の時計店ではここだけの修理はできないことが多い。
しかしウチの職人さんは綺麗にやってくれる。
この私物の時計も同様にチェーン切れをしましたが、
金属を盛りレーザーで結合させるのでしっかりと元通り。
修理代金は状態次第ですが¥10,000くらい見ておけば大丈夫。
余程の事がない限りはどうやっても「直す」ことができるんです。

時計を買ってメンテナンスをするのは値段に関わらず一緒。
その時に買ってから修理代金が何万円も何十万円もかかるというのは、
個人的にはあまり好きではない。
でも全くお金がかからない修理なんてのも存在はしません。
多少の手間や金額がかかるからこそ愛おしく思えるものこそ、
自分にとって本当に必要なものではないでしょうか?

この時計の購入金額は決して安いとは言えませんが、
気に入る、気に入らない、
愛着を持つ、持てない、
これらに関して予算から余程かけ離れた金額でなければ、
そこにはもう値段は関係ありません。
値段と状態そして内容や今後のメンテナンスに納得ができたのなら、
買わない理由を探すより、
自分にとって必要な理由で買った方が良い。

今はこの時計が自分の身の丈に合い本当に長く使いたいと思う時計の一つ。
多分もうこの時計は手放すことはないだろうし、
還暦を過ぎても使い続けることでしょう。
そういうのも何かカッコいいかなと。

そういえばロレジウム以外の時計は全て同じ時計デザイナーがデザインした時計…
偶然か必然かはわかりませんがこれが自分にはハマりが良い。
ブレスレットの長さがちょうど「良くない」あたりも最高です(笑)

Mr. Big - To Be With You (MV)

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