REGALO vintage watch

contact
MENU

SEIKOSEIKO

ステップアップのないファッション

先日、毎週欠かさず見ているネットチャンネルでの話。

靴屋さんの店主の方が出演されている番組で、
今年セレクトしたシューズの紹介をしていて、

「最近は原価や人件費の高騰で物価が上がっているけど、
そういった影響もあってか中間価格帯のものが少なくなってきている」

そんな話をされていて妙に納得しました。
そのお店がセレクトしているブランドは少しマニアック。
ファッションが好きな方には聞き覚えのあるブランドでも、
大半の方にとっては全くなじみがないブランドネーム。
そういった馴染みのないブランドでも販売価格は大体5万円~7万円くらい。

方や有名ブランドだと安くても12万円くらいから。
そう考えると聞いたこともないものにそこそこの金額を出すくらいなら、
誰もが知っているブランドにそれなりの金額を出したい気持ちはわからなくもない。
でも本当にそれでいいのでしょうか?

今回の番組の話は紳士靴の話だったので、
靴にうるさい自分としては、
「値段やブランドで判断するのではなく絶対にフィッティング‼」
つまりどんなに有名なブランドでも、
どんなに高額品だとしても、
足に合わないものを履くのは拷問以外の何物でもない。
とはいえ買ってしまったジョンロブの靴(大体20万円くらい)が足に合わないからと言っても、
こんな高価なものを買ってしまえば履かざる負えない。
後に引けない状態なわけですね。

ではこれを時計に置き換えると…
時計なんて1つあれば十分だし無ければ無いで構わない。
そんな人がいる中で高級腕時計を実際に購入できる人は日本国内でもそう多くないはず。
ちなみに高級腕時計の金額は200万円からとして、
じゃあ手の届く範囲でということで100万円くらいのものを買うとします。
しかも分割でね。

そういったものを買う方の多くは
「いい歳だし、社会人として、昇進したから…etc」
などなど色々な理由をつけて自分を納得させているだけで、
内心は「人から見られたときに自慢できるもの」
「よくわからない安物なんて買えない」
ひねくれて聞こえるかもしれませんが、
会社員時代に高級腕時計の販売会社でリサーチしたお客様の本心で、
恐らくこの数年も心境の変化はそんなにないはず。

ただ年々時計も値段が上がっているので慎重になるのはわかるのですが、
昔は良い意味でステップアップできていたんです。

今から15年くらい前は中古のロレックスも、
30万円もあれば十分見栄えのするものは買えていた時代。
オメガはさらに安かったので、
一部の時計好きを除けばそれなりの時計が買えていましたし、
上記のような言い訳?もまかり通っていたのです(笑)

しかし近年の時計の相場の上がり具合は半端なものではなく、
ちょっと頑張ったからと言って買えるものではない。
そうなると1本の時計を買うためにありとあらゆる情報収集をするのが、
今の時計の買い方なのかもしれません。

ですがいきなり何十万円、何百万円もするような時計が必要かというと、
「ローンや分割でないと買えない人には必要ない」
厳しく聞こえるかもしれませんが言いたいことはわかると思います。
「人の勝手」と言ってしまえばそれまでなので、
好きにすればと今回は言いません(笑)

要は見栄などのためでなく、
純粋に時計が好きならお金をいくら注ぎ込もうともいいと思いますが、
自分も含め多くの方は高額品なんてそう簡単には買えません。
だからこそ「ステップアップ」って意外と大事なんです。

時計を持ったことが無い人にいきなり1本50万円以上のものを買うのは正直ハードルが高い。
そもそもそれが自分にとって必要かどうかを見極めるのは至難の業。
なので最初は手頃な価格帯の時計を持ってみることが、
今後の「時計人生」に大きく働きかけます。

最初は5万円前後、次に10万円前後、
そこからどんどん時計に対して買える金額を増やしていけばいいんですね。
もちろん最終的に100万円くらいの時計を買うのなら、
回りくどいし結果的に余分なお金がかかる。
でも段階を踏むことで自分にとって必要なデザインや機能、
今まで気づかなかった自分の趣向もわかってくるもの。

洋服で言えば自分の場合、
中学時代はモッズファッションに憧れて細身の服装でしたが、
その後ストリートファッション、スポーツミックス、ミリタリーなどを経て、
コンサバティブな服装が好きと気付きましたが、
その根底は間違いなく中学時代のモッズへの憧れ。

時計も男性だとダイバーズやクロノグラフといった所謂「メカニック」「ギミック」なものを好むと思います。
しかし色々身に着けていると必要のない機能やデザインは必要なく、
装いやシーンに合わせた時計が必要だと気付き始めます。
年配の方でよく聞くのが、
「年々不必要な機能の時計は要らなくなって結局残ったのがシンプルな時計だけ」
実はそういう方も少なくありません。

特に近年はデザインが華美になりサイズも大きくなった。
そうなると時計本来の機能よりも、
装飾品としての目的が大きくなった気がします。
さらに大きすぎて使いにくい…本末転倒な話です。
やはり時計の基本は「時間を知ること」。
そういった意味もありウチのお店でおススメしたいのが国産腕時計。





何となくのイメージは「オジサン臭い」「おじいちゃんの時計」など、
どちらかと言えばネガティブな意見も少なくないはず。
しかし余程のことが無い限り直せるところや、
購入金額も比較的リーズナブル、
さらに華美な時計が多い中ここまでストイックにシンプルさを追求したデザインは、
どこかバウハウスにも通じる気がします。

時計本来の美しさはシンプルさから生まれ、
シンプルであればあるほど時計本来の良さは際立ちます。

「多くの粗悪品よりも少しの良いものを」

大好きなファッションディレクターの方の言葉ですがまさにその通りで、
不必要なものを買う必要はなく、
自分にとって最高の選択をすればいいだけ。

今回観た番組でも
「最初はリーガルくらいの価格帯の靴から買ってみて、
ちょっとずつステップアップして手の届く範囲でそれなりの靴を選び、
最後にジョンロブのような高級靴を買う。
その段階を楽しむことがファッションでは楽しいことの一つ」

時計も一緒で、
よくわからないままパテックやオーデマピゲをいきなり買ったとしても、
その物の良さにすぐに気付けるとは思えません。
段階を踏んで色々使ってみてから物の本質は見えてくるはず。
でも絶対に言えることは、
「時計はブランドでも値段でもありません」
これは自分自身が長年培ってきた知識と経験から来るものです。

今回ご紹介しているセイコーも高額品ではありませんが、
購入して良かったと思ってもらえると自信を持ってお勧めできる時計たちです。

だまされたと思って一度手にしてみてください。
ただ国産に手を出すと…抜けられなくなりますよ(笑)

The Jam - Town Called Malice (Official Video)

前へ 一覧ページに戻る 次へ
pagetop
CONTACT MAIL ORDER GLOBAL SHIPPING