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国産腕時計と「お寿司」

本日入荷したグランドセイコーとクラウン。




共に日本の腕時計史を語る上で外せない存在。

グランドセイコーは国産腕時計の最高峰モデルとして1960年に登場。
クラウンは数多くのバリエーションがありますが1959年頃から販売が開始されたそう。
大体同じくらいの年代の両雄。
でもよくよく考えれば今から約60年前の話ですが、
今から60年前ってどんな時代だったのでしょう?

自分が小学生の頃に60年くらい前の話をされたら必ず「戦争」の話。
生前おじいちゃんやおばあちゃんにその頃の話をされ、
飛行機部隊だったおじいちゃんが出撃する直前に出撃中止。
その後、戦争が終わり「特攻」で命を落とさず帰ってきたおじいちゃん。
それからおばあちゃんと出会い恋愛結婚だったとか。

それから時が経ち自分の子供も小学校の入学直前。
そんな子供に60年前のリアルタイムの話はできませんが、
奇しくも自分が扱う時計の話くらいはできます。
それがこういった時計たち。

今回は細かい話をすると終わらないのでザックリと話を進めると、
物を見るときに誰しも必ず目に入るのが「デザイン」。
これは時代によって様々で、
特徴を掴むと一目見た瞬間から年代が分かるようになります。
時計はもちろん車やバイク、家具などなど、
時代に沿ったデザインというものは時代だけでなく、
その背景も反映している気がします。
でも時計のデザインに関していうと国産は…「全部似ている」(笑)

これは時代でしょうね。
戦後数年で時計の生産を開始し、
終戦から15年でグランドセイコーが誕生。
ある意味それはすごいことだと思います。
今のように情報が何でも手に入る時代とは違い、
試行錯誤の連続で生み出されたであろう時計は、
生産から60年が経過しても独特の雰囲気を感じます。

そんな環境で時計のデザインを考えるとしたら、
どこか似通うのは仕方がない。
でもこのデザインはどんなブランドも採用する「時計」を実用品として考え、
そして完成された間違いのないデザイン。
とは言えパッと見たときはグランドセイコーもクラウンもどこか似ています。
興味のない人から言わせれば全く同じ。
ですが自分がこういう時に違いを話すとしたら「お寿司」を例にします。

お寿司はシャリの上にネタが乗っていて、
大きさなど多少の違いはありますが見た目は大体一緒。
でもネタによって味が違うのは当然として、
シャリもお米やお酢で味が変わります。
つまり同じように見えて素材で全くの別物となるわけです。

時計もこの2本のようなラウンド型の3針であれば基本はどれも変わらないデザイン。
しかしケースの形状や文字盤の仕上げや印字、
針やインデックスの形、ムーヴメントの仕上げなど、
お寿司と同じで一つ一つの違いを知れば違いが分かってきます。
そこからが国産腕時計の面白いところ。

パーツ一つ一つの違いが分かってくると、
「これってどうやって造ったんだろう?」
「この仕上げって他と違う」
など様々なことに気付いてきます。
それを突き詰めていくと、
1960年時点でグランドセイコーが如何にすごい時計なのかが自ずとわかってきます。

でもこれを説明することにあまり意味はありません。
所有者が「気付く」瞬間にこの時計の素晴らしさが分かり、
なおかつ他の時計との違いにも気付けてきます。
さらに国産腕時計の凄いところが、
値段が高いから仕上げが良いのではなく、
安価なラインにも手を抜かない姿勢に感銘を受けます。

今現在の日本のものづくりは正直なところ、
世界に通用する革新的なものは多くありません。
過去を振り返ってばかりは良くありませんが、
「温故知新」という言葉もある通り、
何もない焼け野原から15年余りで、
世界に通用するものづくりをした先人から学べることは少なくありません。

またいつの日か日本のものづくりが本当の意味で世界一になる日が来るはず。
その時にファーストなどのグランドセイコーをはじめとした、
旧いセイコーの腕時計を身に着けていられたらカッコいいですよね。

帰ってきたヨッパライ ザ・フォーク・クルセダーズ

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