唯一無二の価値を感じられるパティーナ(変色)。

唯一無二の価値を感じられるパティーナ(変色)。

今回は先日オーバーホールが完了した私物の時計をご紹介。

 

 

当店でも大人気のセイコー・ロードマーベル36000。

セイコーを代表する名作のヴィンテージウォッチですが、

この時計の魅力は腕時計の本質を前面に打ち出した「至って普通」の腕時計であること。

 

よくある私物の紹介となれば手に入れることができないレアモデルや、

誰もが欲しがるような垂涎のアイテムだったりするでしょう。

 

しかし私物の多くは店頭で販売するために、

試験的に自分で使用して気に入ったもの、末永く使えるものを選んでいます。

そのため私物でレアモデルのようなものは持っていません。

弊社では全てにおいて「お客様が最優先」。

 

そう想いながらこの時計も10年近くの付き合いになり、

気付けばロードマーベルはシリーズを通して当店の定番アイテムで、

日本、いや世界で一番この時計に愛着と愛情があり、

一番販売しているという自負があります。

 

今では販売した本数を把握するのは難しいくらいですが、

私物のロードマーベル36000は見ての通り「文字盤がブロンズ色に変色」しているのです。

 

もちろんオリジナルコンディションで書き換えなどではなく、

経年によるパティーナ(変色)なのです。

 

多少のムラはあるものの均一に近いパティーナは、

ヴィンテージウォッチでは一定の人気と価値があり、

時計によっては綺麗なコンディションのものよりも値打ちがあるとされています。

 

ただこの時計に関しては余程の「好き者」でない限り汚い腕時計に見えるでしょう。

しかしヴィンテージウォッチの最も価値を感じるポイントは「一点物」であることが挙げられます。

 

時計の現存数が減っていくのは腕時計に限らずヴィンテージ品であれば宿命のようなもので、

個体数が増えることは天地がひっくり返っても有り得ません。

 

だからこそヴィンテージ品には価値を感じる方が多く、

個体によって全てコンディションが異なるところに面白さと愉しさを見出せる。

 

私物の時計もこの世に唯一無二の存在であるのと同時に過去に扱ったものも含め、

後にも先にもここまで文字盤が綺麗に変色したものは見たことがありません。

 

だからこそ深い愛着を持ってこの時計を愛用しており、

今回のオーバーホールと合わせて風防も交換し、

ベルトは文字盤の色に合わせたクロコダイルストラップを新調しました。

 

このベルトも経年が愉しめるので、

文字盤と同じように使い込むうちに色が変わってきますが、

様々ある時計の愉しみ方の一つに参考となれば幸いです。

 

ヴィンテージウォッチの価値観は人それぞれなので強制することは何もありませんが、

自分の「好き」を信じて選ぶことが最善の選択方法であることは、

絶対という言葉を付け足して良いくらい間違いのないことだと実感しております。

 

そんな「好き」が高じた時計は大した値打ちのない時計ですが、

この時計は自分が死ぬまで使うでしょう。