今日入荷したセイコー・クラウン。
至って普通、この上なくシンプル、
だからこそ究極の時計なのです。
ホント普通。
取り立ててピックアップするところが無い…
ということは無いです(笑)
セイコーをはじめ国産腕時計を語る上で絶対に外せないのがクラウン。
1959年頃から1967年頃まで製造された当時の高級機種の一つで、
マーベルやクロノスといった銘品の中でも特にバリエーションが多い。
その数は数十以上はあるのでしょうか?
こちらは一番ベーシックなステンレスケースにシルバー文字盤、
インデックスもバータイプの何の変哲もないデザイン。
だからこそ腕時計の本質があるのです。
時計は本来「時間をするツール」であり、
ビジネスマンにとって必需品と言っても過言ではないもの。
華美なものは仕事では使いづらく、
良くも悪くも腕時計はその人の「個性」がありありと出ます。
時計好きと言いつつ実は大半の方が「ブランド」好き。
なので時計のことを聞いてもよく分かりません。
有名なブランドのものを持つことが目的の方が多いので、
持っている時計のことを聞くと「モデル名」ではなく「ブランド名」で話されます。
しかし本当の時計好きはモデル名のみならず、
型番、キャリバーナンバーも答えられ、
ツワモノになれば出自から系譜まで全て答える。
それが生粋の時計好きです。
きっとブランド好きには理解ができない世界が国産腕時計にはあり、
ニッチ過ぎるのかもしれませんが、
知れば知るほど面白いものだと思います。
当時の時代背景や日本が高度経済成長期を迎える時代、
戦後から見事に復活を遂げた先人たちの心意気を感じられます。
ちなみに1960年に登場するグランドセイコーファーストモデルは、
このクラウンに使われるCal.560をベースにしており、
代替パーツとしても一部使うことができるのは最近よく言われるようになりました。
それだけ多くの方が注目する時計だからこそですね。
そんな時計なので一度は使ってみて欲しい。
きっと腕時計は面白い、愉しいと思ってもらえるはず。
この時計も60年前のものだとは思えないほどしっかり動きます。
そんなところに感動して欲しいな。