去年に引き続き復刻モデルがレギュラー商品となり、
一層話題となったセイコー・クレドール1st、通称「ロコモティブ」と呼ばれる時計。
独特なデザインをした時計は、今も斬新な雰囲気が漂います。
デザイナーはパテックフィリップ・ノーチラス、オーデマピゲ・ロイヤルオークなど、
数々の名作をデザインした「ジェラルド・ジェンタ」。
ラグジュアリースポーツウォッチと呼ばれるジャンルの生みの親でもあり、
腕時計のデザイナーとして最も名を馳せた鬼才です。
こちらの時計が誕生したのが1979年。
後に「クォーツショック」と言われるクォーツ時計の普及が世界を席巻する直前のこと。
今では考えられないことですが、
機械式の時計よりも電池式の時計の方が高価だった時代もあり、
ムーヴメントの選定やデザイナーの抜擢は先見の明と言いますか、
運命めいたものを感じずにはいられません。
時計のデザインは機関車をモチーフとされたとされ、
ベゼルや時計本体とブレスレットが一体型となったデザインは、
ノーチラスやロイヤルオークにも通じるものを感じます。
4時位置にリューズをセットしたところにはセイコーらしさが見えてきますね。
ムーヴメントはキャリバー5932Aを採用。
クイックチェンジ機能を搭載したデイト付きのムーヴメントとなり、
現在のオーソドックスなクォーツムーヴメントのベースとなったもの。
ここから小さく薄い機械へと急激に進化を遂げるので、
クォーツ時計黎明期と言えるこちらの機械が見られるのもヴィンテージモデルならでは。
当時の時計としては非常に大きめのサイズ感ですが、
本体からバックルにかけて強めのテーパードデザインのブレスレットは、
1970年代ごろの雰囲気がヒシヒシと伝わってきます。
復刻モデルでは新たに自動巻きムーヴメントと外装にブライトチタンを採用していますが、
当時のオリジナルとは似て非なるものであることは確かです。
ヴィンテージモデルが持つ特有の雰囲気やディティール、
その時代背景から感じられるものは代えがたい魅力があります。
個人的に機械式時計だから良くてクォーツ時計はダメとは思いません。
それぞれの歴史があり、各メーカーの試行錯誤があったからこそ今がある。
そういったものが伝わるからこそ腕時計は面白いのです。
時を経たことで一層の深みを増すもの、それがヴィンテージウォッチ。
当時のものだからこそ感じられる魅力というものは、本当にいいですね!