幾度となく「時計は修理が大事」とブログで書いてきましたが、
今回はムーヴメントではなく「外装の修理」について。
このブレスレットはちょっとマニアック。
1960年代頃に製造されたオメガのテンションブレスレット。
テンションブレスと言えばロレックスみたいな「バネ式」が有名ですが、
オメガはバックルでテンション調整ができる「クリック式」。
マニアの間で数万円で取引される希少なブレスレットです。
今回はオーバーホールの際にブレスレット修理の依頼も受けましたが、
預かった時点で…修理できるのか?といった具合。
ピンが折れてクラスプが歪みまくり。
正直なところ直る気がしない状態でした。
とは言え引き受けた修理は可能な限りやるのがウチのお店。
ピンは別作すれば何とななりますが、
クラスプはやってみなきゃわかりません。
今回は相当大変な修理だったようで、
修理期間が丸3カ月。
お待たせして本当に申し訳なく思いながらも、
バッチリ直ってきて大満足←お客様でなく自分が(笑)
毎回オーバーホールの重要性を訴えているのは、
内部の機械の維持と同時に、
外装の金属も汚れたままだと腐食します。
特にネジやピンなど錆に弱いパーツは、
腐食したり錆び付いたままだと外すことができないこともあります。
そうなると腐食したパーツを削ったりして何とか外すようにするのですが、
作業工賃だけでも結構な金額がかかります。
たかがネジやピンを外すだけでも数千円~数万円。
職人さんが時間と手間をかけて作業を行うので、
正直なところそういう修理は値段が合いません。
だからこそオーバーホールの時に外装の汚れを落として、
余計な修理をしなくていいようにメンテンナンスをするのです。
修理は結構「軽く見られがち」なのがこの上なく残念。
「たかが」の作業は熟練した職人さんしかできない分、
誰もできないことを軽くやっちゃうのも良くないのかもしれません。
なので提携先の職人さんには技術向上と同時に、
いかにも大変な修理だったという「演技指導」も行いたい(笑)
と言うのはウソですが、
ネジを抜くのも素人では簡単にできないことが多々あります。
時計の修理を軽んじるのではなく、
気に入って手に入れた時計を維持するうえで修理は必要不可欠、
つまり時計と一緒に「修理」とも一生付き合うつもりでいて欲しい。
今回の修理は
オーバーホール¥25,000
ムーヴメント錆取り¥5,000
ブレスピン別作¥5,000
クラスプ調整¥10,000
各種消費税
合計¥49,500
正直なところ今回は本気で値段が合わない。
でも大切に使いたい気持ちに応えるためであれば、
儲かる儲からないではないんです。
「何が何でも直す‼」
そういうつもりで修理を行っていますので、
どうしても修理して使いたい時計の修理依頼お待ちしております‼