先日お預かりした初期型のサントスの修理。
ウチでも販売している非常に人気の高いシリーズの一つ。
今回はご家族から時計を引き継いだとのことで、
自分用に使う前にメンテナンスということでご依頼を頂きました。
サントスを修理する前に必ずチェックするのが、
「ブレスピン」と「ベゼルの両面ネジ」。
この2か所は修理を行う前に真っ先にチェックするポイントです。
初期型のサントスはベゼルの表側と裏のネジで両面を留めるちょっと変わった形状。
その後モデルチェンジをして通常の裏蓋ネジとベゼルネジと分かれる設計に変わりますが、
初期型は汚れやサビがこのネジ周辺に溜まりやすいのです。
ブレスピンも同様に汚れやサビが溜まりやすいので、
ピン打ちでしっかり叩いて抜けるかどうかをチェックします。
今回はブレスピンは何とか抜けましたが、
お客様の話だと10年以上放置されていたそうなので、
ピンを抜くときに汚れとサビが吹き出します。
幸いにもパーツはまだ使えそうで良かった!
問題はベゼルのネジですが、
年季ものの汚れとサビのせいでガッチリと固着。
ドライバーの先端が捻じれるほど回してもビクともしません。
ということで、
こういう場合は専門の職人さんにネジ抜きをお願いします。
時計は年代に関わらずオーバーホールを推奨するのはいくつか理由があり、
機械を維持するのはもちろんのこと、
今回のサントスのように定期的にネジを抜くだけでネジの固着を防げる場合があります。
こういう時計の形状はネジを抜かないとそもそもオーバーホールができない。
そういう時計も存在するので定期的にメンテナンスをお勧めするのです。
今回の修理は何よりベゼルのネジ抜きができる職人さんがいること。
恐らく他店さんではネジが外れないから修理不可、
メーカーではネジが抜けないという理由だけでケース一式交換。
つまり直らないか、
とんでもなくお金をかけるか、
本当に究極の2択を迫られます。
そこに3番目の答えを導き出せたのは時計屋冥利に尽きると言いますか、
ご依頼頂いたお客様にとっても良かったんじゃないのかなと思います。
さらに言えばネジ抜きの際はネジを削り外すので、
元のパーツは当然のことながら使えません。
そこで今回の場合はネジのストックをしてあるので、
それを使って修理が行えます。
正直なところ修理代金は作業工賃と見合わない、
パーツは減る、
全く儲からない。
でもナゼそこまでして修理するのか?
それは簡単な答えです。
「時計屋だからお客様のご依頼に120%応える」
できることは可能な限りやるのがウチのお店。
もちろん修理できないこともあるので、
その時はお断りせざる負えませんが、
せっかく相談してくださったのであればやれるだけのことはやっちゃいます。
それで結果的にお客様の納得のいく修理ができれば本望ですし、
提携している職人さんもやりがいがあるというもの。
というわけで今回の修理代金は
オーバーホール¥25,000+tax
新品仕上げ¥10,000+tax
ネジ抜き8か所¥24,000+tax
ネジ抜きが終わったら内部の見積もりなのですが、
ざっとこんな感じです。
多分というか絶対に修理代金が安すぎ(笑)
そう自負しておりますが、
お値段以上に作業はしっかりと行いますので、
修理が完了したらきっと
「修理依頼して良かった」と思って頂けるはず。
作業完了はまだ先ですが、
お客様が喜んでくださるよう一生懸命対応させていただきます。
修理ご依頼の際はぜひご相談くださいね‼