本当に「良い時計」とは?

本当に「良い時計」とは?

先日お預かりしたオメガ・スピードマスターのメンテンナンスが完了。




予定より少し遅くなりましたが、
無事にお渡しができてお客様にも喜んで頂けたので本当に良かった。

こちらの時計はお客様が20年くらい前に買われた思い出の時計。
確か10年くらい前にマイナーチェンジをして今は廃盤になったモデルだと思いますが、
この時計は当時は爆売れしていたシリーズの一つ。
文字盤の色は違いますが自分も同じ時計を持っていたので、
個人的にも思い入れがあります。

お客様と他の時計も見ながらこの時計について、
他の時計やブランドなどなど、
久しぶりに時計について熱く語った気がします(笑)
自分が時計について語るなんてある意味「奇跡的」。
かれこれ20年近く時計関係の仕事をしているので、
実は時計以外に興味があるのは愛嬌と思ってください(笑)

そんな中お客様から「一番良い時計って何ですか?」と聞かれ、
自分の答えは今も昔も変わらず「ガシガシ使って直すことができる時計」
そうお答えしました。
これは自分が時計関係の仕事を始めたときから「変わらない答え」なんです。

時計は不思議なものでブランド、値段、デザインなど、
全てのことが「ピンからキリまで」の珍しいアイテム。
もちろん洋服や車や家などと言われたら「キリ」がありませんが、
値段の幅だけでも数千円~数十億円まであるのは時計くらいじゃないでしょうか?

かつて会社員の頃は数十万円~数千万円の時計を販売していましたが、
今だから言えますが販売していたそういう時計を「良い」と思ったことは一度もありません。
理由は単純で普通の会社員程度が買えるような代物ではありませんし、
そんなに高価すぎるものは身に着けて行くことがありません。
仮に100万円の時計をして電車通勤って何だか変。
「分不相応」ってものです。

それよりも時計は先ほど書いた通り「ピンからキリ」なら、
自分のライフスタイルに見合ったものを選んで、
それをしっかり使ってあげてちゃんとメンテナンスをする方がカッコいい。
過去のブログでも書いてある通り「トータルバランスが大事」を重視するのであれば、
スーツなどの仕事着や休日の装いもしっかりとして、
食事や身体づくりなど「日常の生活」をちゃんとすることだと思うのです。
そもそも時計って「時間を知るツール」ですから。

とは言え「時計の面白さ」は誰よりも理解しているつもりです。
詳しく書くと終わらないのでまたの機会にしますが、
様々な時計を「集める」、「眺める」、「所有する」愉しみもあります。
さらに言えば時計の一番重要なことは「値段じゃない」こと。
値段が高いことが正義なら300万円程度の中途半端なものより、
1億円する時計を持てばいい。
ブランドネームが有名であることが正しいのであれば、
ロレックス程度で満足せずにパテックやランゲを持てばいい。
個人的には「F.Pジュルヌ」は好きですが(笑)
ただ時計ってそういうことじゃないんですよね。

自分が手の届く範囲で「好き」と思えることが何よりも一番大事。
誰に何と言われようとも「これが一番‼」、
そう思えるものを手に入れた人が最高に幸せになれる最高のアイテムなんです。
そうなれることができるこの世で最も「幅の広さ」を持つのが時計。
その考えのもとで「ガシガシ使う」「しっかりメンテナンスをする」
この2つができるのが自分が思う「本当に良い時計」なんです。

書く言う自分は人の何倍、何十倍も時計や洋服を買って使いました。
時計に関して言えば自分よりも経験値のある販売員さんはほとんどいないと自負しています。
本当に数多くのものを手に入れて使った結果が今のお店のセレクト。
だからこそ自分が扱う全ての時計に自信を持っています。
それと同時に扱う商品と同様に、
ご依頼頂いた修理も可能な限り全力で直したいと思うんですよね!

というわけで今回は
オーバーホール¥40,000
新品仕上げ¥10,000
ゼンマイ交換¥8,000
各種消費税
合計¥63,800

金額だけで言えば決して安くはないと思います。
でもそれを乗り越えられる「感動」はきっとここにあるはず。
「時計」と「思い入れ」を大切にされたいお客様のご要望にしっかりと応えられたと思います。
これからもしっかり使ってあげて、
次回メンテンナンスの時はまたご依頼頂けると嬉しいですね‼

連日コロナウィルスに関わるニュースが多く、
自分たちも含めものすごく不安に思われる方も多いと思います。
でも必ず終息する日はやって来ますので、
今できることをしっかりとして、
やって来る「いつもと同じ毎日」に備えましょう‼