あえて「ヴィンテージ」である必要

あえて「ヴィンテージ」である必要

嬉しいことに顧客様からの相談で、
「ヴィンテージと新品の違いや魅力を書いて欲しい‼」
というリクエストを頂きました~!
なので個人的に想うことを書きますが、
あくまで「個人的感想」なので正解不正解ではありません。
時計などを購入する参考になれば幸いです。

今更ですが「ヴィンテージ」に拘る理由。
もうこの答えだけは単純です。
「デザインが好きだから」
これが一番です。

時計に限らず服飾品は「デザインを気に入る」ことが一番。
自分が気に入らなければ愛着なんて湧かないし、
何より大切にする気持ちが持てない。
特に時計は買ったら終わりではなく今後のメンテナンスもある。
そんな時に好きでもないものにお金を払って修理する人は少ないはず。
だから何よりもデザインが好きなものを買ってほしい。
細かいことは後からでも知れば良いし、
メンテナンスなどに関して分からないことがあればお店の人に相談する。
本来「買い物」とはそういうことだと思う。

またヴィンテージ品の魅力は当時のデザインと同時に、
時代背景が感じられる「雰囲気」というのも外せない。
デザインの決め手でもある形はもちろん、
色使いやディティールなども時代によって異なります。
そういった違いを色々見ていくと、
自分の好みの年代が分かってきます。

ちなみに自分の場合は81年生まれなので日本がバブル時代に入る前。
多くのものが海外に輸出され日本製が素晴らしいと評価された頃。
今のようにインターネットが無いので情報が今よりも少ない中、
本当に良いものを作ろうとした姿勢が見えたり、
同時に大量生産を行うために試行錯誤がされた時代。
何となくですが希望と不安が入り混じりながらも、
ワクワクした未来が待ってくれている時代…
何て勝手に思っています(笑)
そう言った時代背景の勉強にもなるのがヴィンテージ品の魅力の一つ。

そういうヴィンテージ品の大きな2つの魅力。
その他にもたくさんありますが、
時計で言えば何と言っても「メンテナンス性」の高さ。
昔の時計は今のものよりも簡素な構造になっているので、
世界中どこの時計職人さんでも直せるはず。
もちろん一部メンテナンスができなかったり、
パーツが手に入らないなどの問題はありますが、
少なくとも自分たちのお店で販売しているものに関しては、
購入された後のことも考えて商品をセレクトしています。
なので何が何でも直せるように努力はしますが、
ユーザーが正しい使い方をすることはどれも一緒。

では新品などの「現行品」はどうかというと、
否定するつもりはありませんが個人的に好きになれない。
これはデザインはもちろん、
自分のライフスタイルや服装に合わないものが多い。
そして何より概ね「値段が高い」。
さらに言えば自社でしかメンテナンスできない時計も多い。

しかし現行品は何年、年十年という研究結果が導き出した、
今の技術でいわば「完成」されたもの。
時計も古いものに見られる弱点をほとんど克服し、
「壊れにくい」「劣化しない」を実現化しています。
ただそれが良いのか悪いのかは人それぞれ。
「時計が壊れるのは嫌だから現行品が良い」という方は迷いなく現行品を。
でもその分しっかりと値段には反映されていますので。

そういったことを踏まえると、
それぞれにそれぞれの良さや悪さはあるので、
どちらが良い悪いは言えません。
ただ自分にとっては「手間が掛かるほどかわいい」みたいな感情もあるので、
現行品の時計は余程のことが無い限り生涯買うことは無いと思います。

時計は無ければ無いで生きていく上で問題はありません。
しかしある程度の年齢を重ねたときに、
「所作」の一つに時計を身に着けないことは有り得ない。
だから自分にとって必要なものを「自分で選ぶ」べきアイテムだと思います。
誰かに勧められたものを買うものではないし、
ましてや見栄のために持つものではない。
心から愛して止まないものを持ってほしい。
情報が多い今の世の中だからこそ、
自分の「好き」を信じることが大事なのだと思います。

現在の手持ちの時計は、
50年代のセイコー・ロードマーベル、70年代のオメガ・コンステレーション、
そして修理からようやく戻ってきた60年代のグランドセイコー。




ゼンマイが切れて歯車が欠け、
パーツの手配に数カ月を要し復活。
セイコーを知っていく上で自分にとって「これしかない」と思った時計で、
他のアイテム同様に愛着があるせいか、
修理が完了した時は妙に嬉しく思いました。
こういうちょっとしたトラブルも、
ヴィンテージの時計だからそう思えるのかもしれません。

だからと言ってヴィンテージ品を誰にでも勧めるつもりはありません。
どういったものが欲しいのか?
どういう時に使いたいのか?
どんな装いに合わせたいのか?
などなど人によって必要なものは違ってきますが、
少しでもヴィンテージに興味があるなら先ずは持ってみること。
そこから全ての始まりです。

でもその前に、
気になる商品について問い合わせることが一番最初。
気になるものがあればぜひぜひお問い合わせくださいね‼