ヴィンテージらしさの一つ

ヴィンテージらしさの一つ

ヴィンテージウォッチを扱うからヴィンテージ品が良いという「ポジショントーク」ではなく、
純粋にヴィンテージ品が良いと思う今日この頃。

最近は時計に限らず洋服や家具などもヴィンテージのようなアイテムが多く、
それこそバイクや車も当時のものを現代風にアレンジしたものが多く出回っています。
しかし所詮は復刻は復刻。
当時モノとはワケが違うんです。



こちらは先日入荷したパシャC。
人気の外ベゼルタイプで90年代には「ビーチサイドウォッチ」の一角を担った名作。
当時はゴリゴリのダイバーズよりも、
上品でエレガントだけどスポーティな時計が大人気。
ロレジウムもこの頃に発表されましたね。

今回はデザインというよりは夜光に使われている「トリチウム」などの話。

90年代頃まで時計の夜光にはトリチウムという発光素材が使われていましたが、
発ガン性が高いということで使用を禁止。
ルミノバという蓄光素材に変わりました。
ルミノバは基本的に変色はしませんが、
トリチウムは経年などでクリーム色に変化。
そう言ったところがヴィンテージウォッチの魅力の一つでもありました。

しかし使用禁止をされたトリチウムは当たり前ですが今は使われず、
色の変化が起こらないルミノバはヴィンテージウォッチ好きからは敬遠されるディティールに。
まぁ気持ちは分からないでもないですね。
顔はヴィンテージなのに夜光が真っ白だと少しバランスが悪い。
それもあって当時モノをメーカーに修理を出すと、
真っ白な夜光のインデックスになるので正直「ヘン」。

そういう声が多かったのか、
最近の復刻モノはルミノバの夜光に着色したものが多い。
ヴィンテージの雰囲気を再現しているのでしょうが、
自分としてはこればかりは違和感しか感じない。
トリチウムが使えないから仕方がないとは言え不自然。

夜光はトリチウムだとしても均一には変色せず、
微妙ながらも色ムラがあって表情に違いが生まれるもの。
それを人工的に均一にすると何だか気分が落ち着かない。

自然の反対語は不自然であると同時に「人工」でもある。
つまり不自然=人工ということでもありますが、
意図的なものは物でも食べ物でも何かしらの弊害がありますね。
人工甘味料みないな…?合ってる?

何はともあれ何年、何十年という「時」を経て今に存在するヴィンテージ品なので、
やはり自然に変色したインデックスはカッコいい。
本当に世界に一つだけしか存在しないわけだし、
同じものを揃える方が難解な話。

ヴィンテージ品を選び時に「状態が良い」「キレイ」というのもポイントですが、
個人的には「このコンディションに至るまでに色々あったに違いない」と予測したくなるものもお勧めです。
なので夜光をはじめ文字盤などが焼けて色が変わっているものを見るとテンションが上がります。
今こうして出会えたことが「奇跡」…
何かの歌詞みたいですね(笑)

年代モノであれば他にはない特徴というのが見て欲しいポイントであったりもしますので、
ヴィンテージ品を選ぶときはぜひ注意深く観察してみてください‼