今回は「奥の手」を使いました。

今回は「奥の手」を使いました。

先日「ブログ」でもご紹介したオメガ・シーマスターの修理。

見事に完了しました‼

以前にも書いた通り今回はオーバーホールの際に回路交換と、

外装の新品仕上げの予定でしたが、

ムーヴメントの状態が思った以上に「酷い」。

サビが強すぎて何とか取り出せたものの、

各パーツは固着してネジが回りません。

これは裏側。

端子や各所にサビが見られますね。

こちらが表側。

輪列も完全にアウトな状態でしたが、

何とかカレンダー板だけは取り外せました。

 

ここまで錆びていると回路の問題どころではなく機械そのものが使えません。

普通なら修理不可でお客様に返却されることが多いのでしょうが、

ウチの職人さんは「しつこい」性格なので諦めません(笑)

 

昔のオメガなどは機械がETA社のものを使っていることが多く、

多くの場合はオメガのものではなくETAのムーヴを使って直します。

そういう場合は回路交換だけで済んだり、

ちょっとしたパーツの移植で大丈夫なことが多いのですが、

今回は機械板も外せないので奥の手を使います。

 

奥の手とは…「ムーヴメントの丸ごと交換」

 

先にも書いた通りオメガなどのブランドの機械はETAのもの。

つまりETAの機械が手に入れば入れ替えて直すことができます。

しかし昨今の情勢から機械だけでなく他のパーツも入手ができなかったり、

生産終了だったり国内に在庫がないことが多い。

しかし今回は運が良いことに同じ機械がラスト1個残っていました。

先ほどのオメガ仕様のムーヴメントと違い金色仕上げ。

これはETAが生産した機械なので機械板などの色は違いますが同型のもの。

各ブランドが自社製品に使うときは仕上げを変えることが多く、

良いのか悪いのか「自社ムーヴ」風となるわけです(笑)

 

今回はお客様に時計の状態と修理方法を説明しご了承していただいて作業進行。

本当にラッキーで機械が手に入りましたが、

これが無ければ時計が復活することはあり得ませんでした。

今回の修理代は…

オーバーホール¥16,500、
新品仕上げ¥11,000
機械交換¥38,500
合計¥66,000

機械は新品入替ですが製造がいつのものか分からないのでオーバーホールを行います。

当然ですが元の機械はお客様に返却しますので、

今後メーカー修理をしたいときはオメガの機械に入れ替えて修理出しとなります。

でもメーカー修理をするとなればコンプリートサービスだけでなく、

文字盤、リューズ交換は必須になるかと思われます。

最悪の場合はエスケープバルブやミドルケースなども交換になると、

時計を買うよりも高くつくかもしれません。

 

お客様とお話ししたときに「思い入れのある時計だから今後も大切にしたい」とのことで、

メーカーには出さずにちゃんと電池交換をして、

オーバーホールの時も当店へご依頼くださるとのことでした。

お渡ししたときに本当にご満足いただけて良かった~。

 

これでまた永く使えますね‼