とんでもないものをゲットしました。
20代の頃に大ファンとなった「ヘルムート・ラング」というファッションデザイナーのアーカイブ。
この人がいたからこそファッションにのめり込み、
この人がいたからこそファッションが好きになった。
自分にとって思い出という言葉では片付けられないほど、
多大な影響を与えてくれた人の一人です。
今から25年ほど前のファッションは「ノーム・コア」という言葉が生まれる前。
ストリートファッションからデザイナーズへ移り変わるころに当たる時代でした。
その頃のシーンとしてはドルチェ&ガッバーナのようなラグジュアリーで派手なブランドが台頭してきたころ。
反面フレンチカジュアルのようなシンプルでベーシックなファッションも小さなブームで、
このヘルムート・ラングをはじめラングの影響を受けたとされるAPCなども人気。
どちらかと言えば色々なジャンルが混在していたこともあり、
自分自身は結構ごちゃまぜのような恰好をしていました。
当時のラングと言えばリジットはもちろんダメージデニムにペンキを吹きかけたものがシンボル的アイテム。
リーバイス501や505の影響を受けたものを自身でデザインし、
それに影響受けたのがAPCや後のディオールオムだったり。
デザインの根底はアメカジだったこともあり、
比較的多くの世代で受け入れられていた気がしますが、
少なくとも世界的なファッションデザイナーのアイテムなので安くはない(笑)
自分も一生懸命お金を貯めて購入したフライトジャケット。
アルファなどのフライトジャケットはモコモコして野暮ったいのが苦手でしたが、
薄手でスッキリとして見えるのラングのフライトジャケットは、
雨の日も雪の日も毎日着ていました。
囚人のようなデザインをした服も合ったりましたが、
この辺はオシャレな人くらいにしか似合いません。
目つきの悪かった自分が着ると本当の囚人になってしまいます。
定価ではなかなか買えなかったので都内の古着屋さんを徘徊しまくった思い出が蘇ります。
今でこそブランド古着のお店も増えましたが当時はラグタグも3店舗ほど。
後はビルの上層階にある個人店のようなお店を看板探して行ってみたり。
今のようにネットがあれば便利なのかもしれませんが、
自分の足で探す楽しさも当時には感じられた気がします。
昨今「ファッションが好き」という方と話しても意外とデザイナーを知らない、
ブランドもよく分からないという方が少なからずともいらっしゃるので、
そういった方のためにもこういったアーカイブは知識の集積になると思います。
ネットで調べれば大抵のことは出てくるかもしれませんが、
流行りのスタイリングやメディアが紹介しているアイテムだけでは語れない部分もあったりなかったり。
今あるファッションも元を辿ればどこかのデザイナーが元ネタだったり。
その一人がヘルムート・ラングのような気がします。
ただ現在のヘルムート・ラングは本人のいない名前だけのブランド。
当の本人は経営陣と方向性が合わなくなり、
デザイナーを辞めて養鶏場を営んでいたとか。
ファッションは日常に存在するもので高価格である必要性は無く、
本当に良いものだけを作りたい。
そんな想いがあったと聞きます。
今のファッションは不必要な物事が多くなりすぎ、
時計と一緒で本質的なことは置き去りになっている気がします。
本来の服の目的や、
デザインすることの本質を捉えたのがヘルムート・ラングの作品。
何でも揃うこんな時代だからこそ、
もう一度ヘルムート・ラングの復活が一石を投じてくれるはず。
またこの袋を引っ提げられる日が来て欲しいな~。