何だかんだ厳しい世の中ですから…。
「時計は修理することを前提に」と再三お伝えしていますが、
今日はその「修理」をする職人さんについて。
ウチのお店では職人さんを「雇って」いません。
自分でできる修理は自分でするのですが、
とは言え専門職の方には技術で到底及ばない。
「じゃあ雇えばいいじゃん」というのは違います。
「雇う」つまり雇用すると給与が発生します。
そうすると職人さんのサラリーの「上限」が決まってしまいます。
自分たちがお店を開く以前から時計職人さんの仕事は減少傾向。
高齢化もあり引退される方が多いのが現状。
もちろん新たに育成できるのならいいのでしょうが、
希望される方も少なく教育もままならない。
でもその環境の中でも現役でやられている方がいる。
戦後、日本の経済を支えてきた職業の一つでもあるので、
その灯を消さないために自分たちができるとは何か?
それはお店を持つ自分たちと職人さんたちとの「提携」だと考えました。
現在提携している職人さん、時計修理専門会社がいくつかあります。
昔からの付き合いの方、お店を初めて新たに知り合った方、
様々な「つながり」があって自分たちのお店を支えていただいています。
でもどの職人さんも仕事が減っていく中でも昔からの常連さんや馴染み客を大切にされています。
そこで自分たちが「雇う」という方法で職人さんを迎え入れると、
その職人さんの従来のお客様の修理ができなくなってしまう。
自分でも経験したことがありますが職人さんが身近にいなくなるのは本当に寂しいですからね。
自分たちが「提携」という方法を選んだのは、
「提携」すれば自分たちの依頼も従来の依頼も両方受けられる。
そして「職人」という繊細な仕事なので自分のペースで仕事をしてほしい。
デメリットもありますが修理のペースが少し遅くなるくらい。
でもその分きっちり仕事をして頂くので安心してください‼
さて今回の写真に載せたカルティエのパシャ。
ちょうど修理が上がってきたのですが見た目はきれいですよね?
実は預かったときに汚れはもちろん、
ベゼルの印字が剥げてさらに短針の夜光がボロボロだったんです。
ここまでの状態でメーカー修理をすると…
コンプリートサービス約5.5万円、
針交換約7千円、
ベゼル交換約5万円?
正確な金額は分かりませんが安くないことは予想できます。
これを当店でメンテナンスした場合は
オーバーホール¥25,000
ベゼル墨入れ¥2,000
夜光塗り直し¥3,000
消費税
ケース洗浄サービス
ここに今回は内部パーツの交換がありましたので、
切換車¥6,000
針もベゼルも見栄え良く修理されており、
これでまた永く使えるようになりました‼
時計は絶対に「修理」という項目が切っても切り離せません。
その時に何万円、何十万円も金額がかかるのは正直しんどい。
でも直さないと使えなくなるのは明白。
この世がどんなに便利に進化しても、
形あるものは「直す人」がいないと維持できない。
どの時計屋さんも同じだと思いますが、
「時計修理職人」がいるからお店は営業できる。
自分たちだけの力ではなく支えてくださる多くの方のおかげだと実感します。
こういった話が時計を買った方、買おうと思う方のお役に立てられたら幸いです。
修理でお困りの際はぜひぜひご相談くださいね‼