「プレマストタンク」はカルティエのヴィンテージモデルで非常に貴重な存在。

「プレマストタンク」はカルティエのヴィンテージモデルで非常に貴重な存在。

本日入荷しました「カルティエ・プレマストタンク」は今も多くの謎を持つ非常に貴重な存在。

これほど興味をそそる時計はヴィンテージ好きであれば見逃すわけにはいきません。

 

 

「must de」表記が文字盤にプリントされる前の一時期に生産されたプレマストタンク。

筆記体表記のブランドロゴがヴィンテージらしい雰囲気を強め、

タンクルイカルティエのデザインを踏襲したことも一層の魅力を掻き立てます。

 

一説ではカルティエが腕時計の一般販売を開始した1972年頃から誕生したとされますが、

恐らくその頃は北米仕様のスナップバックケースのものだと思われます。

 

 

こちらはヨーロッパを中心に流通したとされる欧州仕様のケース。

ケースサイドからネジ留めでケースを結合する構造は、

後のマストタンクにも見られるディテール。

 

資料から推測したところ、

カルティエが一般販売を開始した際のラインナップが全て金無垢モデル。

当時からカルティエの製品は非常に高価だったこともあり、

安価な製品を作ろうとしたのが始まりでプレマストタンクが誕生。

 

しかしそれは資本が異なるアメリカ本社のカルティエが独断で生産し、

後に模造品が流通し始めることとなったため、

一時的な措置として欧州仕様のプレマストタンクの生産を行うもののイレギュラーな製品ということもあり、

「must de Cartier」として正式に生産体制を整えたのが1976年。

1977年からマストタンクとしてラインナップされることとなったため、

プレマストタンクは生産を終了することとなります。

 

以上は独自の解釈と邪推ではありますが、

過去に当店で販売したもので保証書が付属する個体は1975年に販売されたものを確認したので、

北米仕様のものの生産期間は5年ほど。

 

欧州仕様のものはさらに短いと思われるので、

流通量で言えば北米仕様よりも断然少ないのが欧州仕様のプレマストタンク。

実質の生産期間は3年前後と思われるので見かける機会にも限りがあります。

 

 

文字盤はタンクルイカルティエと見間違えるほど同じデザイン。

7時側のシークレットサインは時計の年代として入っていないことや、

欧州仕様はスチールブルーの針がセットされています。

 

しかしメーカーでは黒い針ではないので社外の針だと判断されますが、

過去に見た欧州仕様のプレマストタンクはLMサイズもSMサイズもスチールブルーの針しか無いので、

針の整合性はこちらで間違いは無いはず。

 

文字盤の仕上げはマストタンクのようなラッカー塗装というよりは半ツヤのような質感。

経年によるクラックのあるものもありますが、

多くは変色などのダメージを受けていることがあり、

個体によって文字盤へのダメージはそれぞれ異なるようです。

 

しかし今回の個体は目立つダメージやクラックなどは無く非常にキレイ。

これだけでも十分価値を感じていただけるはずです。

 

またリューズはスピネルが尖っており、

ぶつけて割れてしまったりする可能性があるから、

マストタンクから丸みのあるスピネルに変更されたと予想します。

 

 

欧州仕様のプレマストタンクは裏蓋の刻印。

20ミクロンの金張りケースにすることで金無垢よりもコスト抑えることを目的としましたが、

後に多くの時計ブランドが職人への工賃が高くなるということで金張りケースは全面的に無くなります。

 

そしてマストタンクはスターリングシルバーの表面に金張り加工を行いますが、

プレマストタンクは真鍮(ブラス)の表面に金張り加工を行っており、

時計のディテールだけでなく素材の違いもユニークに感じられます。

 

 

ムーヴメントはカルティエをはじめ多くの時計ブランドでも使用されるETA社製Cal.2512。

安定した精度と耐久性なども含め非常に評価が高いムーヴメントの一つで、

マストタンクの手巻きモデルと若干仕様が異なり、

こちらも含めオリジナリティの高さを追求した個体であることが伺えます。

 

 

尾錠は当時のカルティエのロゴをモチーフにした「ダブルC」のクラシックバックル。

カルティエのCが交差したようなデザインに趣を感じられますが、

こちらのパーツも現存する数に限りがありますので、

如何に貴重なものかが伝わると思います。

 

 

あらゆる情報が入手できる現代でも、

こういったヴィンテージモデルの正確な情報は未だに公開されず、

何が正解なのかは分かりません。

 

しかしそういった謎を解明していくこともヴィンテージの面白さでもあり、

探求心を掻き立てる素晴らしいアイテムであるということ。

 

今分かっていることは可能な限り今ブログで書いてはいますが、

新たな真相があるのかもしれません。

 

それがいつになるのかも分かりませんが、

ただ言えることはこの時計は簡単に入手することができない。

それだけは間違いのない事実です。

 

今回は文字盤のコンディションの良い個体が入荷しましたが、

次回は何年も先になるかもしれません。

 

そうなるとこの時計を見逃す理由は…ありませんよね?