「ケチ」と「買い物上手」は違います

「ケチ」と「買い物上手」は違います

「ケチ」は必要なところにお金を払わないこと。
 
 
「ケチ」という言葉の意味を子供に教えるときの嫁の説明が上手でした。
 
今更ですが顧客様には耳タコな話で聞き飽きているかもしれません。
 
しかしどんなに訴えても今でも「ケチ」る方が多いのでまた書きます。
 
 
 
「ケチ」って聞こえが悪い言葉ですが、
 
Wiki先生によると
 
「けちは、金銭を使うことを嫌い、基本的な快適さや生活上の必要の一部を犠牲にしてでも、金銭その他の財産を溜め込もうとする人物」だそうです。
 
こんな内容だから聞こえが悪いのは当然と言えば当然。
 
今回また書こうと思ったのが、
 
「時計を買うときにできるだけ安い方が良い」という方や、
 
「高級時計を買ったけど修理代を払いたくない」という方がまだ多いので、
 
いつもは遠慮していますが今回は手加減せずに思ったことをそのまま書きます。
 
 
 
誰がどこで何を買おうがその人の勝手なので余計なお世話だと思いますが、
 
未だに個人売で時計を買う方、値段が安いだけで購入される方が後を絶ちません。
 
最初に結論を言いますが…
 
「本気でそういうのやめた方が良いですよ。」
 
 
 
毎度のことですが理由は、
 
・個人売で買う時計はほとんどメンテナンスをしていない。
 
・仮にしていたとしても必要なコストをかけていないからすぐ壊れる、または修理のクオリティが低い
 
・トラブルがあったときに対処してもらえない
 
・何かあっても相手に相談できない
 
・値段以上のリスクの方が高い
 
挙げればまだ出てきそうですが主にこんなところです。
 
 
 
今回の写真はカルティエの電池式ムーヴメント。
 
電池の漏液が酷くもはやオーバーホールでは直らない状態。
 
この状態だとメーカー修理は必須。
 
業者さんから回してもらった時計ですが、
 
仕入代と修理代を考えたら…損するのは覚悟しないといけませんね(笑)
 
電池を入れっぱなしで保管状況が悪ければこうなるのですが、
 
これが個人売で買って手元に来たら…って考えてみてください。
 
 
 
例えば自分が欲しい時計がお店で10万円で個人売サイトで5万円で売っていたとします。
 
あなたならどちらで買いますか?
 
私なら絶対にお店で買います。理由は…
 
・実物が手に取って見られる
 
・お店の人に色々相談ができる
 
・何かあっても対処してもらえる
 
値段は5万円の差ですが、上記ができるのはその値段の差以上に大きい。
 
例え安く買えるからと言っても金額自体は決して安くないので、
 
特に実物を見るというのは最重要と言えます。
 
 
 
では逆に5万円で買ったとして…
 
・手元に届いて壊れていたら?
 
・使っていて急に動かなくなったら?
 
・そもそも〇〇モノ?
 
色々なリスクが考えられますが誰に相談しますか?
 
 
 
まず持ち込みの時計に対する当店の対応は…
 
・他で修理されたものは保証ができない
 
・部分修理はしないので基本的にオーバーホール
 
・鑑定業務は一切行わない
 
恐らくこれはどこのお店でも変わらないはず。
 
 
 
以前、持ち込まれた古いロレックスを修理したいというので内部を見たところ…
 
基本料金に加え複数のパーツ交換が必要でトータルの修理代が12万円。
 
修理代安くないですね~。
 
ですがきちんと対応させていただいておりますのでバッチリ直りました。
 
話を聞けば「某個人売サイトで15万円で買ったけど急に動かなくなった」
 
結局、総額で30万円近く払ったことになりますが、
 
同じ時計でもっとコンディションが良い物がウチのお店で25万円。
 
 
 
それでも個人売で買いたいですか?安いという理由だけで買いたいですか?
 
「ケチ」ったことで金額以上に精神的ダメージも大きいのでは?と思うのは私だけではないはず。
 
 
 
今回は手加減しませんので長文です(笑)
 
後半は「修理代を払いたくない」方へ。
 
 
 
まず根本的にそういう考えの方は「何も買わない」方が一番良いです。
 
時計はもちろん車、バイク、洋服、家などなど形あるものは何でも「メンテナンス」が必要。
 
「物」である以上は大なり小なり修理代は掛かるものです。
 
 
 
時計だけの話をすれば数年に一度のオーバーホールは欠かせません。
 
さらに革ベルトなら交換が必要だし、
 
ブレスレットと言えども消耗パーツで汚れも溜まりやすいから手入れが必要。
 
電池時計も電池交換が必要で放っておくと一大事。
 
どんな時計もメンテナンスフリーということはまずありません。
 
大切なメンテナンスに関わる修理代も含めて時計選びは必要です。
 
 
 
時計は必ず修理が必要な物です。
 
せっかく買ったのに修理しないのは時計が可哀そうだし何よりもったいない。
 
そのメンテナンスに必要な金額も踏まえながら時計は選ぶべきアイテムです。
 
特に気を付けていただきたいのは
 
「現行品は自社製ムーヴメントや特殊構造のものが増えてメーカーでしか直せなくなってきている」
 
つまり買うときにも直すときにも高額な「お金」が必要ということです。
 
事実そういった時計が増えています。
 
 
 
 
 
以前こんな相談を受けました。
 
「有名ブランドB社の時計を買ったけどオーバーホール代が高いし重いしほとんど使っていない。これってどうしたらいいんですかね?」
 
心優しい?ワタクシは…
 
「そのB社のそのモデルはメーカーでしか直せないけど修理代が高いのは多分買う前からわかっていたわけですよね?
 
さらに使いにくくて放置しているのならさっさと売り飛ばしちゃいましょう!」
 
 
 
そうなんです、
 
使わないのなら持っていても仕方がない、
 
さらに直したところで使うかどうかもわからないのなら売っちゃって本当に必要なものを手に入れるべき。
 
その昔、現行品を扱うお店で働いていたので、
 
時計をできるだけ高く売って現金化する方法をアドバイスして納得していただきました。
 
そのお金で必要な時計を当店で買い替えていただくという正にウィンウィンな関係です!
 
この相談された方と別の方にも同じ話をして皆様に喜んでいただけたのは自分としても嬉しい。
 
 
 
なので時計を買うときに「よくわからないけど雑誌やネットで見たから」などという安易なことではなく、
 
ちゃんとお店の方と相談して自分にとって必要かどうかの判断をしてください。
 
それは個人売ではできないことですし、
 
そこにお金を払うことはもったいなくも無駄でもなく「買い物上手」なことです。
 
 
 
ただ少なくとも
 
「ロレックスを買えば将来高く売れる」、
 
「人気モデルは資産価値がある」
 
そんなくだらない情報に惑わされないように。
 
その辺のお話はまたいつの日か。