懐古主義にならないように

懐古主義にならないように

今はあまり言わないかもしれませんが「ジーンズ」。
それが「デニム」と呼ばれるようになって20年位でしょうか?
誰が言い出したのかはわかりませんが、
50代以上はジーンズ、40代と30代は半々くらい、
20代以下はデニムという呼び方で定着していると思います。

自分たち世代は中学生頃から古着ブームもあって、
リーバイスやリーなど元来労働者のためのメーカー?は「ジーンズ」と言ったり、
モードなブランドから販売されたものだと「デニム」と使い分けている気がします。
ちょうど2000年頃にドルチェ&ガッバーナやディオールオムから販売されたものは、
「ローライズデニム」「スキニーデニム」だったので、
その辺りから「デニム」という呼称は定着したのかもしれません。
でもローライズジーンズやスキニージーンズという呼び方もおかしいと思いませんが、
若い方にとっての呼び方はどうでしょうか?




こちらは大のお気に入りブランド「ディースクエアード」の「デニム」。
1996年創立のイタリアのブランドで、
このブランドを知った頃はドルチェ&ガッバーナ、ディオールオム、ニールバレットなど、
メゾンブランドの「デニム」最盛期の頃。
派手な装飾やシルエットのドルチェ&ガッバーナに対して、
細身でフェミニンなディオールオム、
その中間くらいのニールバレットは好んで履いていましたが、
ウエスタン調のデザインが特徴的なディースクエアードは当時かなりの衝撃を覚えました。

一瞬ドルチェ&ガッバーナの雰囲気に近いと思いきや、
細身のシルエットで綺麗にまとまっているけどディオールオムほど大人しくない、
でもニールバレットとは全然違う。
新しい解釈を当時のファッションに取り込んだ気がしました。
最初はちょっと受け入れられなかったのですが、
通りすがりの女性がディースクエアードの服を着たのを見て、
「めちゃくちゃカッコいい」と思い即お店に行ったのを覚えています。

今はインポート物を扱うお店にもディースクエアードの洋服は置いてあるようなので、
目にする機会も以前よりも増えたと思います。
ディースクエアードの「デニム」は割と細身で、
良い感じのダメージ加工がしてあるものが多い。
カジュアル~セミフォーマルくらいまでなら合わせやすくて重宝します。
よくデザイナーのケイティン兄弟がここのデニムに、
白のドレスシャツとエナメルや革の短靴を履いている写真を見かけますね。

「デニム」=「ジーンズ」の起源は炭鉱で働く労働者の作業着。
そこから約150年ほどで一般の方のオシャレ着になるとは、
当時の人たちは誰一人予想できなかったでしょう。
そういった経緯のあるアイテムなので、
リーバイスやリーなどを「デニム」と言うのは何だか抵抗があります。
やっぱり「ジーンズ」の方が武骨で荒々しいイメージがあるので、
「デニム」という言い方を使い分けるのは強ち間違いではない気がします。
ただ「ジーンズ」にしろ「デニム」にしろ、
30代後半~50代くらいの方は注意が必要な服だと思います。

若い方を中心に「古着ブーム」の再来から自分たちも含め、
ヴィンテージの501などが再注目されていますが、
若い方がこういったものを着るのはカッコいいと思います。
多分、最近の若い方は手足が長くて細いので、
野暮ったいヴィンテージジーンズが似合うのだと思いますが、
中年以降は体型も丸くて若い頃よりは太い。
なのでヴィンテージジーンズだと労働者感が出るというか、
本当にただの作業着にしか見えない気がします。
イメージはアメリカの古い映画に出てきそうな炭鉱のオジサン。
それに軍モノの上着を着たらランボーのような帰還兵のできあがり。
時代錯誤というか「懐古主義者」になってしまいます。

そうならないために中年以降の方は、
少し細身の「デニム」が上品に見えて良いと思いますが、
細すぎると気持ち悪いので、
少しピッタリくらいのサイズ感が重要になってきます。
ディースクエアードをはじめ最近のデニムはストレッチが入っていることが多いので、
値段に関わらず履きやすくシルエットが細身で綺麗なものが多い。
さらに足長効果が期待できるようにダメージ加工を施しているので、
体型に自信がなくても安心して「デニム」を選べます。

とはいってもヴィンテージジーンズの魅力も捨てがたい。
生地の厚みや縦落ちした風合いもヴィンテージジーンズならではの魅力。
中年層が履いて作業着に見えても、
上質なニットやシャツと合わせれば野暮ったくならないし、
若い人にはできない経験を積んだ中年だからこそのスタイルも表現できると思います。

そして還暦を過ぎたくらいからまたヴィンテージジーンズが似合ってくる気がします。
ヴィンテージの501にコンバースやVANSのローテクスニーカー、
腕には昔から使っているメンテナンスをしっかりとした時計。
そこにロマンスグレーのヘアースタイルだったらめちゃくちゃカッコいい。
そんな還暦以降の姿に憧れるのですが、
果たしてその時までに自分の髪の毛は残っているのだろうか…?

でも毎回のことですが何よりは「健康」が第一。
コロナウィルスの影響が日に日に強くなっていますが、
今できることをしっかりと行うしかありません。
開けない夜は無いし、止まない雨もありません。
きっとそう遠くないうちに事態は終息するはず。
そう信じて今をとにかく頑張りましょう‼