本日入荷しました「オメガ・デヴィル」は1977年製のデッドストック。
小振りなケースサイズの手巻きモデルでは時代の変わり目となる、実は非常に貴重な存在なのです。

1970年代後半は時計ブランドの各社が電池式の時計の開発を行う時代。
先立ってセイコーのクォーツ時計は世界を席巻しましたが、
オメガも負けじとクォーツモデルを世に送り出します。
手巻きや自動巻きのいわゆる「機械式腕時計」は一時的に衰退を辿るようになるのですが、
よく言われる「クォーツショック」という時代がやってくる直前の製品。
クォーツ時計が普及した理由の一つに機械の薄型化が挙げられますが、
オメガのように機械式ムーヴメントで薄型のものを量産するには限度があり、
クォーツ時計が主流となる1980年代には時代の波に飲み込まれて行きます。

機械はCal.1100という手巻きムーヴメントの後年のもの。
ハイビート化された機械が主流となった時代では珍しい、
ロービートタイプの小型化されたムーヴメントです。
20mmサイズのケースで手巻きモデルはCal.625がほとんどでしたが、
樽型で小型化されたムーヴメントは、
多くのケースデザインに対応するために採用されたと思われます。
ただ先ほどにも書いたクォーツ時計の台頭もあって、こちらの機械は割と短い期間のみ採用され、
1970年代後半の一時期にしか使用されることはありませんでした。

ただ時計自体のデザインは従来の手巻きモデルよりもケースシェイプに丸みがあり、
文字盤も濃いめのゴールドカラーとなりクォーツモデルへと引き継がれていきます。
微妙なデザイン変更ですが、長年見比べていくと大体の年式が分かってくる。
時々、手巻きモデルだと思っていたらクォーツモデルだったなんてこともあったりします。
そんな1970年代後半の時計は機械だけでなく時計のデザインもよりモダンに、
少しづつ現代に近づいていることが感じられてきますので、
こういった過渡期に製造された時計は時代背景が見えたりするので、
時計が好きな方にとってはユニークに感じられると思います。
もちろん時計としてのデザインの良さや機能性はさすがのオメガ。
長年スイスをはじめ世界でもトップブランドに輝くだけあって、
シンプルながらも洗練された雰囲気が伝わります。
しかも出荷時の保護シールが残っているデッドストックとなれば、
その時計の魅力は一層深まるはずです。
1977年にお生まれになられた方や記念の1年だった方など、
所縁のある方であれば深い愛着を持っていただけるはずです。
こういった機会は本当に少ないので気になられた方はとにかくお早めに。
次回に同じ時計は出てきません。
