世界中で注目の集まるグランドセイコーの腕時計。
1960年に誕生し現在も日本製のトップランナーとも言える時計ブランド。
そんなグランドセイコーのファーストモデルは大枠で3つの文字盤に分類されます。
販売直前にマイナーチェンジをされたプリント文字盤、
ハイコストのため製造から1年半ほどで変更された彫り文字盤、
最もベーシックながら仕様やコンデションによって値段に大きく差のあるアップライト文字盤。
今回はシリーズ中、最も希少とされるプリント文字盤について。
最初の販売予定ではグランドセイコーのロゴがプリントされた、
通称プリント文字盤と呼ばれるものだったそうですが、
高級感が今一つ足らないとのことで急遽ロードマーベルと同じ彫り文字盤に変更。
販売直前の急なマイナーチェンジにより一部流出したのがプリント文字盤とされています。
そのため1960年3月ごろから製造が始まったファーストモデルのほんの数カ月だけ、
プリント文字盤のものが世に出回っています。
推定では1960年半ばの製造までがオリジナルのプリント文字盤、
以降は何らかの理由でプリント文字盤に入れ替えされたとされますが、
こちらの個体は1960年4月製造なので文字盤とケースが合致します。
時計の高級感という見方をすれば彫り文字盤やアップライト文字盤ですが、
経緯を考えるとプリント文字盤がいかに希少な存在なのかが伺えます。
いざ探そうと思っても持っているお店はほとんど無い、
あってもコンディションが微妙など、
個体を考えれば仕方がないことですが、
こちらほどの良品は今ではなかなか手に入れられる機会がありません。
機械は最初期だけテンプの仕様が異なりますが、
外装以上に内部のコンディションも非常に良好です。
ヴィンテージウォッチをはじめ世界中の腕時計が注目される昨今、
日本を代表するトップブランドでもあるグランドセイコーの記念すべきファーストモデル。
それを紐解くと意外と複雑な実情があったりするのも、こういった時計の面白さの一つです。
価格だけで見ればこちらの時計は非常に高価なものではありますが、
そこには歴史的価値が込められており、
誰でもない自分だけにしか見つけられない存在感を持っています。
この時計も売れてしまえば次はありません。
貴方が迎え入れてくれる日を待っていますよ。