昨今、高騰の続く「カルティエ・サントスガルベ」の初期モデル。
完成されたデザインと絶妙なサイズ感から来る着け心地、
精度や耐久性に優れた実用的なムーヴメントなど、
あらゆる観点で見ても非の打ち所がない時計。
初出は1979年とされていますが1980年代半ばにクォーツモデルが加わり、
マイナーチェンジなどを繰り返して現在もラインナップされる、
カルティエのロングセラーモデルの一つなのです。
この時計の難点を挙げるのであれば、
デザインを優先したケースやブレスレットの構造は他の時計とは違う独特なもの。
メンテナンスをしないとネジやピンが抜けないなど、
ある意味では時計の基本というより当たり前に対する応えを具現化しています。
時計はどこで何を買ってもメンテナンスが必ず必要なので、
定期的に修理に出すのは当然のこと。
放置され続けて従来では修復ができない個体もあったりしますが、
弊社の職人さんのおかげでそこはクリアにしています。
長年扱ってきた時計だからこそ、
良い部分も悪い部分も含めお勧めしているのですが、
ここまで行き着くまで本当に苦労もありました。
時計屋がただ売れるからという理由だけで販売したりするのではなく、
可能な限りメンテナンスもできるということを担保に販売するのが、
本来の時計屋の在り方。
この時計はユーザーにとっての当たり前と同時に、
販売する側の姿勢も表してくれるという意味でも、
本当に良い時計なのだと改めて思わせてくれます。