日本の腕時計で「1960年」と言えばグランドセイコーが誕生した1年。
セイコーが世界に向けて挑戦をし、
世界に誇る国産腕時計の頂点とも言える存在と言えるグランドセイコー。
その記念すべきファーストモデルは、今では世界中の時計コレクターから注目され、
製造から65年が経った今でも多くの人々を魅了します。
今回はそのGSファーストで希少とされる通称「彫り文字盤」について。
GSファーストの文字盤は大枠で3つあり、
「GrandSeiko」のロゴがプリントで表記されたものから始まり、
販売直前に今回の彫り文字盤へと仕様変更がされ、
1961年の半ば頃にアップライトへと変更されます。
こちらの個体は生産初期頃の1960年10月のもの。
シルバーで彫り込まれたロゴに12時側のインデックスは分割された2枚のプレート、
山型の針など初期モデルならではの特徴が見られます。
一説ではこの彫り文字盤のコストがかかるからという理由で、
アップライトインデックスへと変更されたという話もあるくらい、
手の込んだディティールであることが伺えます。
裏蓋はグランドセイコーのシンボルでもある獅子メダリオン。
こちらも前期と後期があり、鬣にボリュームがあるものが前期で14金製、
後期型は鬣がストレートに近いデザインで14金メッキとなります。
長野県・諏訪工場に拠点を持つセイコーから、
「高い精度と耐久性を持ち、持つことを誇りに思えるような腕時計」をという想いを込めて誕生。
当時の職人さんたちの気持ちが伝わってくるような細かな造りは、
改めて日本製の素晴らしさと繊細さが伝わる歴史的名作。
日本人であることと同時に日本製に誇りを持てるような腕時計。
腕時計本来の魅力と価値を気付かせてくれる存在です。